GnuCash
には統合給与システムはありません。
GnuCash
で給与支払い費用を追跡することができますが、給与支払いプロトコルを開発して、GnuCash
の外
(例えばスプレッドシート) で計算を実行する必要があります。
本節では、そのようなプロトコルの一つを示します。
モデルとして次の例のプロトコルを使用します。
給与支払いプロトコルの第1ステップは、各従業員に対しすべての税金と控除のリストを作成することです。 各項目には各金額を計算するための定義と計算式を含まなければいけません。 一度プロトコルを確立すると、給与支払いの法律または税率変更があるときだけ変更する必要があります。
この例のシナリオでは、控除リストは次のようになります。
E_GROSS_SALARY - 従業員税込給与額
E_TAX1 - Tax1への従業員負担 (E_GROSS_SALARYのXパーセント)
E_TAX2 - Tax2への従業員負担 (E_GROSS_SALARYのXパーセント)
C_TAX1 - Tax1への企業負担 (E_GROSS_SALARYのXパーセント)
C_TAX2 - Tax2への企業負担 (E_GROSS_SALARYのXパーセント)
注記 | |
---|---|
従業員の手取り給与 (E_NET_SALARY) は、E_GROSS_SALARY - E_TAX1 - E_TAX2 で定義されます。既に存在する項目で構成されるので、このリストに入れる必要はありません。 |
各控除を計算するための実際の計算式をこのリストに配置します。 これらの計算式はかなり複雑な場合があります。「税法の表のXYZを参照」と単純に書いてある場合もあります。
この定義を使用することでいくつかの興味深い金額を計算することができることに注意してください。 そのような金額の一つとして会社の総コスト E_GROSS_SALARY + C_TAX1 + C_TAX2 があります。
GnuCash
で給与支払いを記録する時は、単一のスプリット取引で処理します。
このスプリット取引を適切な費用と負債勘定科目に配置します。
後で給与支払いを詳細に調べる必要がある場合、スプリット取引を開いてください。
前記の控除リストを利用して従業員スプリット取引マップを作成します。
リストのそれぞれの項目はGnuCash
勘定科目にマップします。
表14.1 取引マップ
勘定科目 | 増加 | 減少 |
---|---|---|
資産:当座預金 | E_NET_SALARY | |
費用:給与 | E_GROSS_SALARY | |
負債:Tax1 | E_TAX1 | |
負債:Tax2 | E_TAX2 | |
費用:Tax1 | C_TAX1 | |
負債:Tax1 | C_TAX1 | |
費用:Tax2 | C_TAX2 | |
負債:Tax2 | C_TAX2 |
C_TAX1およびC_TAX2要素が負債勘定科目と費用勘定科目の両方の項目にあることに注意してください。 それぞれの税金に関する会社の租税債務は給与支払い時点で費用計上されますが、税金の支払期限までは負債のまま残ります。
従業員への給与支払いを行う勘定科目に移動します。例えば資産:当座預金勘定科目です。 スプリット取引を開いて、この例の取引マップを使用して実際の金額を入力します。 全社員分これを繰り返します。
ヒント | |
---|---|
多くの従業員がいたら特に本書の手順は退屈です。 従業員給与支払いを入力する時に間違いなく使用する 給与支払取引がほとんどの給与支払期間で変更されない場合、現在の給与の間は各従業員の最新の給与支払い取引をコピーする取引複製機能を使用できます。 絶えずそれを行うなら予定取引機能を読むと、さらに多くの時間を節約できます! |